ハイエクは、デカルト的合理主義を否定し、ヒューム的な経験主義から出発した。彼にとっては、市場は完全情報の合理的主体が無限の未来までの価格をもとに計算を行うものではなく、部分的な情報しかもっていない人間が価格を媒介にして外部の情報を取り入れ、無知を修正して進化するメカニズムである。

『ウェブ進化論』の絶賛するグーグルは、断片的なウェブの情報を系統的なデータベースに組織するという意味で、ハイエクの市場モデルに近い。しかし、それは価格という「こちら側」とのリンクをもたないため、SEOなどによって容易に欺かれてしまう。グーグルは「あちら側」だから、理解できないほうが悪いのだ、と思考停止してしまうのは、バブルによくみられる群衆行動だ。

— ハイエク - 池田信夫 blog(旧館)